スズキ カプチーノ E-ER11R


車好きの

男のロマンを

時代と規格とサイズとの中に

ぎゅと凝縮したもの。

 

走り出して

幾つかのギアを加速させ

幾つかのカーブを曲がれば、

もうすでに

軽自動車の規格の中で作られたものだから、

そんな呪縛は解放されるだろう。

 

それだけではなく

窮屈なという方ではなく

スポーティーでタイトであるその頭上には

オープンカーにもなるという

屋根がないパラダイスな天空が

晴れの日は青空

夜には満天の星空を添えて

その官能を味わえるのである。

 

フロントミッドシップというパッケージであって

そのサイジングが軽の枠であると言う事は

その重心の中に座ることは

イコールでリアタイヤの前に座ると言う事。

 

フロントタイヤとリアタイヤの配置は

軽の四角の中で

エンジンと人間をパズルのように配置するわけで

しかもタイヤより内側に重心物を詰め込むわけで

ビート、AZ1では軽のサイズゆえに作れなかった

自然な着座と素直に手足を配置出来る

ドライビングポジションが得られるのは

この車のみの特権。

フロントエンジン縦置きだからこその

足を素直に伸ばしても

フロントホイールハウスが邪魔にならない。

細いミッションを横に

デフを後輪に分ける事が出来るので

ちゃんと真っすぐ人が運転する空間が確保できている

身動きは出来ぬほどのパッケージの中に。

 

ケツの位置とハンドルのセンターと

ペダル3つの足の操作が

癖なく当たり前に出来るのは

カプチーノに分があった。

 

軽のサイズ中でのミッドシップだと

リアタイヤと背中の横置きエンジン、

その前提で着座する位置を確保すると

フロントホイールハウスの中にペダルの足が入る事になる。

身長177センチの私が。

 

 

僕が乗ったのはシャンパンゴールドなカラー。

 

エンジンのF6Aターボは

これしかないだろうし

ダブルウィッシュボーンを4輪に組めた事

とんでもなく低い着座位置

どこを優先して

どのコンセプトを追い込んでも

実に仕上がりの着地位置が絶妙にちょうど良い。

2座の前提

オーバーハングの外に

出来るだけ重量物を置かない

よく収まったものだ。

僕は幸せなことに

この車をセカンドカーとして所有したので

狭いとか実用性がとかいう文句はなかったし

日常方の逸脱にこんな楽しいアイテムはない

そんな感覚で楽しんでいた。

 

僕が30歳近辺で

カーディーラーから

スタンドマンになって

他車メーカーの車も乗れる、

そんな解放感から

関係者から破格の中古価格で買ったものだった。

乗った時期としては

新車では

F6からK6にエンジンが変わりかけの時期だと思う。

 

基本ノーマルで

車検対応マフラーと

リサキュレーション目くらましの

王道バックタービン仕様な程度で

十分楽しかった。

 

足を固めたりそれ以上の何かを施すとすれば

オープンゆえの

ボディーに対する不満とか

フロントガラスのバタつきやゆがみも

きっと気になった事だろう。

ライトに遊ぶライトウエイトスポーツ

そう割り切れた自分が良かったのかもしれない。

とても強固に大きなサイドシルが設計されていて

シビアな事を言わなければ

オープンの軽としては剛性は大したものに思う。

 

タイトさと

非現実な解放感の両立。

カートのような

アスファルトすれすれを走る感覚。

 

記憶から遠くなるほど

ある意味で

記憶を引き出すときに

胸に染み込んでいた何かを思い起こさせる

不思議な感覚に見舞われる。

 

こういう車は

いつ思い起こしても

いろんなメモリーが色褪せないものです。

 

 

 

 

 

cozy